
あまり聞きなれない言葉ですよね。
実はこの「労働分配率」で、「労働条件」がいい会社(ホワイト企業)かどうか判断することができます!
会社の費用で重要なのは人件費
会社の資金力を見るには「損益計算書」を確認するといいですね。
資金力がある会社は社員に還元できる余裕があるので、労働条件が良くなります。
そこで「労働条件」がよいといわれている企業の「損益計算書」では、どこに注目してみるべきだと思いますか?
その企業の「労働条件」がよいということは、他のどの費用よりも「従業員」にお金をかけているということ。
そうすると必然的に「人件費」の額が多くなってきますね。
人件費の内訳は以下のように「直接的」に従業員に支給されるものと「間接的」に支払われるものに分かれます。
「給与」
「賞与」
「退職金」
「社会保険料」
「福利厚生費」
「福利厚生施策にかかる厚生費」
「セミナー参加費用」
「研修などの教育訓練費」
「セミナー参加の交通費」などもそうですね。「出張費」や「出張先の食費手当」なども含まれますね。
要するに「従業員が使用している」「関わってくるような費用」は基本的にすべて"人件費"に含まれるのです。
労働分配率は売り上げをどれだけ人件費に回しているかの割合
人件費は「販管費」の中のいち項目です。
「オフィスの使用料」
「宣伝費や給料」
「福利厚生費」
「人件費」
その販管費は、「売上総利益の中から支払われる。」
「売上総利益」は「売上高」から「原価」を引いたもの。
そうすると単純に、「売上総利益の額が増えれば増える」ほど「売り上げを人件費に回す余裕」出てくるんですね!
労働分配率という考えを知っていますか?
これは人件費と密接な関係があるんですよ。
労働分配率とは下の算式で表わすことができます。
「労働分配率(%)」 = 「人件費」 ÷ 「付加価値額」 X 100

企業活動をしたことで、ものに新たに「付加価値」を生み出したことにより得られる「利益」です。
厳密にはちょっと違いがあるのですが、簡単に言えばこの「付加価値額」というのは、「売上総利益(粗利益)」とほぼ同じと捉えて問題ありません。
計算式をみてもわかるとおり、労働分配率とはなにかというと、売上総利益のうち「どれだけ人件費にかけることができるのかの割合」なんです。
分配率は同業で比べないと意味がない
実は労働分配率は、「業種」によって異なってきてしまいます。
例えば、サービス業や小売業など「労働力 = 人的経営資源」になるような労働力に依存するところでは、「労働分配率は高め」になってきます。
その逆で「製造業」のように「機械設備を経営資源の中心」に「人的資源は機械設備のサポート的」な位置づけで、付加価値を生み出してくようなところでは「労働分配率は低め」に出てきてしまうことになります。
そのため、「労働分配率」は「同業種間での比較」を前提にしてみなければ意味がありません。
ほかの業種の会社と比較しても意味はないのです。
「労働分配率は少ないほうが会社としてはうれしい」「多いほうが労働者としてはうれしい」ということですね。
参考として「労働分場率の平均は40%~70%」といわれています。
「経常利益」と「労働分配率」が大きければホワイト企業の可能性が大
働いている人にとってはこの労働分配率はできるだけ増加させたいですよね?

高ければ高いほどメリットがあると思いますよね。
実は残念ながら、そうとは言えません。
売上が低下するなどにより「売上総利益が大幅に減少した」ような場合。
売上が減少したからと言ってじゃあ「人件費も削減するか」なんてことはできませんよね。
一度支払うと決めた「給料の支払い額」は労働契約上の取り決めごとですから、「経営者が勝手に判断して減額する」ことは難しいんです。
その結果として、「売上総利益に占める人件費の割合は高くなってしまいます。」
このように「労働分配率」だけを単純に見ていても、労働条件がいいかどうかは判断できないところがあるのです。
分配率は経常利益と合わせることで意味がある

そうではなくこのような場合「経常利益額」と合わせて見ることで、労働条件の適切な判断をすることができるようになるのです!
「経常利益」が大きいということは単純に「企業の収益力・財務力」が高い証ですよね。
当然、経常利益が大きいと売上総利益や営業利益もしっかりとした額の値が出ているはずです。
このように、しっかりと黒字となっている状態になって初めて「労働分配率」に意味が出てきます。
「売上総利益も同額」なのにA社に比べて「B社の労働分配率が著しく低い」という場合には「B社はまだまだ支払いに余裕があるのに、利益分を労働者に還元していない」
という可能性が見えてくるのです。
このようなことから
重視するのは経常利益
「経常利益額」が大きくかつ「労働分配率」が高い場合どちらを重視すべきかといえば、やはり「経常利益」です。
「非常に大きな額の経常利益をたたき出しているような会社」
「十分な労働条件を設定しているような場合」
でも労働分配率が高く出てこない可能性もありますよね。
特異な例ではありますが、十分な人件費をはらっていても「経常利益が大きすぎて」分配率が低くなる可能性もあります。
また、将来の設備投資のためにいったん「労働分配率」を低く抑えているような場合もあるでしょう。
その場合、一時的に分配率が低くても労働者に対して「将来リターン」が期待されるということもあります。
ここで説明した「経常利益」や「販管費」などの費用は、すべて「有価証券報告書」をはじめとした「IR情報」から入手することができます。
「有価証券報告書」には、いろいろな情報がありわからりずらいとは思いますが収益力を見ることができる「損益計算書」はだけはぜひ確認してみましょう!
IR情報についてはこちら。
『就活会議』と『IR情報』ってなあに?【徹底解説します!】
まとめ
労働分配率とは「人件費 ÷ 付加価値額」で計算される比率で労働分配率が高いと、「人件費」に十分な額をさいていると考えられます。
そのため労働条件が良いと判断できます。しかし、赤字の会社ほど労働分配率が高くなる傾向にあるため注意が必要です。
そこで「経常利益」と「労働分配率」が高いかどうかを確認しましょう!
「経常利益」が高いということは十分な支払能力があるということです。
また、労働分配率は業種ごとに変わりますので、比較するときは「同業種間」で判断する必要がありますよ。