
実は「退職金」は法律で決められているものではないとご存じでしたか?
実は退職金制度を定めていない会社が多数存在しています。
今回は、退職金制度についてお話していきます!
退職金制度の3つの説!
一度は聞いたことのある退職金制度。

と思いますよね。
ではそもそも退職金とは一体何なのでしょうか。以下の3つの説があります。
退職金とは
- 賃金後払い説
- 功労報酬説
- 生活保障説
賃金後払い説
賃金後払い説は、本来在職中に給与として毎月支払われるべき金額を計算して、退職時にまとめて支払われるというものです。
65歳で退職した場合残りの20年分の給料をまとめて支払うという給与の側面ですね。
功労報酬説
功労報酬説は、在職中の職務に対する責任や仕事による貢献に対して、恩恵的な給付金として支払うという考えです。
「会社に貢献してくれてありがとう」という気持ちの面ですね。
生活保障説
生活保障説は、退職後の生活を会社が保障するためのものという考え方です。
退職金というと退職後の生活保障の意味でとらえているかたが一番多いのではないでしょうか。
これらの3つの説がどれか1つだけが当てはまるというのではなく、それぞれの要素が重なり合うことで退職金という制度を形作っているのです。
ただし特に「労働条件」としての見ていった場合には、生活保障説のウエイトが大きいものだと捉えることができますよね。
退職金制度はとても重要
労働者にとって重要な労働条件のひとつとして「退職金制度」がありますよね。
ただし多くの方にとってはもらえるのがずっと先のことなので、あまリピンとこないかもしれませんね。

このときの年金額が仮に月20万円だとすると、退職金がなければあなたはこの月20万円だけで老後の生活をしていくことになります。
月20万円だと大体、新入社員のときの給料とおなじくらいになりますね。
定年退職するときのことを考えるとそれまでに必要なものが増えていると思いますので、月20万円で暮らすにはとても苦いことが想像できますよね。
もし、あなたが仮に85歳まで生きたとしますと、働かなくなってからの老後の期間が20年間になります。
その場合、月の収入としての年金20万円に加えて、退職金を取り崩せば毎月10万円ずつを生活費にあてることが可能になるので、月30万円を使うことができます。
この2つの例、毎月の使えるお金が、かたや20万円、かたや30万円と、月10万円も違ってきてしまうんですよ。
この10万円の差が、老後の生活をどれだけ大きく変えるかは想像できますよね。
もうひとつ、例をあげてみます。
このときも退職金がなければ、あなたがもらえるのは雇用保険の基本手当(失業手当)のみです。基本手当はせいぜいもらえても月額換算で20万円余りです。
またこの場合、もらえる期間はおよそ5ヶ月となります。
仮に500万円の退職金が支給されたとしますね。
すると、雇用保険基本手当も合わせれば生活費として月20万円を1年分充足できるほかに、独立開業資金300万円以上を手元に残すことができます。
退職金の有無が、第2の人生設計にどれだけ大きな差をつけることになるか一目瞭然ですよね。
感覚的にわかってはいましたが、退職金制度が、会社を選ぶうえでのかかせない要素になっています。
退職金があるかないかで、働かなくなってからの生活模様が大きく違ってきますよね。独立して店をもつような場合、退職金がなければ開業が難しいこともあるでしょう。
退職金制度は法律では定められていない!?
実は、退職金は、法律で支給することが義務とされているものではありません。
そのため、退職金制度を設けていない会社もたくさんあるのです。
ただし、就業規則に退職金の支給について規定している場合には、「労働契約上、退職金の支払い義務」が生じることになります。
就業規則に書いてあるのに退職金が支払われなかった場合、違法になります。
退職金制度は会社にとって大きな負担
会社としては、退職金制度を設けていることは、非常に大きな負担となります。
一般的に退職金はかなり大きな額となります。60歳で定年退職した場合の退職金の平均は約2000万円です。
一人に対してかなりの高額ですよね。労働者が退職する際には、企業はその資金を用意しなければなりません。
労働者が多数いる場合には、労働債務としてかなりの額になってきます。
こうしたことから、以前は退職金制度を設けていたのにバブル崩壊以降の中で、退職金制度をなくしてきた会社も数多くあるんです。
あるいはベンチャー企業などでは、業績のよい会社でも「最初から退職金制度を設けていない」ところも多々あります。
また賃金後払い説とは逆方向の取り組みとして、「退職金相当分を前払いで選択できる」とした会社もあります。
つまり、在職中の賃金に「退職金相当分が加算される」というものです。
この前払い制度は「年功型賃金」が崩れつつある今では、必然なのかもしれませんね。
ただやはり日本型の経営という観点から見れば、退職金制度の有無はそのまま労働条件の優劣の大きな判断要素になってきますよね。
やはり「ホワイト企業」と名乗るには「退職金制度」は当然定められていなければですね。
退職金制度があるか調べるにはどうすればいいの?
退職金制度の有無については、残念ながら就活ナビや『就職四季報』からはなかなか情報を拾ってこれません。
しかしハローワークの求人票には退職金制度の有無の掲載があります。
それに、ネットのロコミ情報やOB訪問などで確認することが可能なので企業訪問などで情報を集めておきましょう。
ただし、金額まではなかなか教えてくれないんですよね。制度の有無だけでも確認することをおすすめします!
まとめ
退職金制度は法律で決まっているものではないのです。そのため退職金制度がない会社も多数存在します。
バブル崩壊後は退職金制度をなくしてきた会社も多数あります。
退職金の額は一般的にかなりの高額になるため、あるのとないのでは退職した後の生活に大きな差でます。
残念ながら就活ナビや『就職四季報』からはなかなか情報を拾ってこれません。
ハローワークの求人票には退職金制度の有無の掲載があります。
ホワイト企業では退職金制度が整っていることが条件のひとつですね。