
日本ではほとんどの企業が「年功賃金の賃金形態」を採用しています。
では年功賃金制とはどのようなものなのでしょうか。
年功賃金制であることのメリットとデメリットをまじえてお伝えいたします!
人事システム三種の神器
日本では「年功賃金」というかたちをとっています。
いわゆる年功序列というやつですね。
勤続年数によって賃金が上昇するので、基本的に会社にいるだけで「賃金が上昇」していきます。
戦後の復興および高度経済成長を支えた日本の人事システムとして以下の3つがあったといわれています。
「年功賃金」
「終身雇用制」
「企業内組合」
つまり
また、「会社」と「組合」が一緒になって「生産性」を上げていこうとする「安定的な関係」を持った大手企業が日本経済をけん引していったことで、「飛躍的に経済成長を遂げることができた」という考えがあります。
「年功賃金」「終身雇用制」「企業内組合」のこれらは日本型人事システム「三種の神器」といわれることもあるのです。
ただし今は「バブルの崩壊」や「リーマンショック」などの影響で「終身雇用」はできなくなっていますね。
取りあえず「どこかの会社に入れば安泰」ではなくなってきたので、会社選びには慎重にならなければいけません。
年功賃金の仕組みとは
日本型人事システムの中でも一番重要な働きをしたのが「年功賃金」だったと言われています。
年功型賃金は、「年を経るごとに必ず賃金アップ」が実現していくので労働者としては安心して所属することができますよね。
「先輩たちを見れば自分の将来の生活レベル」を想像することができるので、その未来に向けて頑張ろうと
「労働意欲」
「生産性」
を高めていくことができます。
今あなたが務めている会社に「尊敬できる先輩」や「憧れの生活をしているひとはいますか?」
リーダーや役員なのに生活に困っていないでしょうか。
極端な例ですが、飲み物やお昼ご飯を我慢していませんか。
退職するまでそんな生活嫌ですよね?
今の会社にいれば「確実」にその将来が自分に降りかかってきますので、今一度周りをよーく見まわしてください。
「自分は仕事ができるからあぁはならない」と思っていても、組織なので絶対に同じ生活レベルになりますよ!
頑張って就活して入社した会社で思いいれはあると思いますが、少しでも疑問に思う節があるのであれば転職をおすすめします。
この先何十年もいることになる職場ですし、新入生の就活より「中途の採用」のほうが断然「内定」がきまるのは早いですよ!
年功序列の仕組み

「年功型賃金」がどのような仕組みで実現されていると思いますか。
新卒で会社に入社したひとが入ってすぐにパフォーマンスを発揮するということはなかなか難しいことですよね。
はじめのうちは、「賃金(コスト)は支払われても、業績的にはなかなか貢献できていない」という「会社側からすれば持ち出しの状態」がしばらくは続くと思います。
それでも、数年経って仕事に慣れてくると、だんだんパフォーマンスが上がってきて「やがてコストを上回っていく」ことになります。
職種にもよるでしょうが、恐らく30代に入っていくと、段々とコストよりパフォーマンスが上回ってきます。
まだまだ若いので頑張りが効きますし、頭も柔らかくいろいろなことを吸収できますよね。
そのためパフォーマンス超過状態は膨らんでいきます。

やがて、年齢とともに体力が低下してきますとパフォーマンスは少しずつ低下してきます。
もちろん、年齢を重ねれば重ねるほど熟練度を増してパフォーマンスを高めていくような職種もあるでしょうが、「平均像としては40代も後半」になるとパフォーマンスが低下していくものでしょう。
一方、賃金(コスト)は、この頃までに大きく膨らんでいくことになります。
そして一定年齢以降は、コスト超過状態になっていきます。
一般的な労働者の生涯の労働と賃金の関係は、だいたいこんなイメージですよね。
ここでのポイントは
「働き盛りの世代」が「コスト超過になっている部分をカバー」しているのです。そうして会社の中でバランスを取っているわけですね。
つまりこれは、「終身雇用制」だからなせるわざだということがいえます。要するに「終身雇用制」と「年功型賃金」は表裏一体の関係にあるのです。
そのため今では昔ながらの「年功型賃金制では成り立たなくなってきた企業」も出てきました。
平均年齢が高い会社は要注意
ただし年功序列が成り立つのは「平均年齢が30-40代を超えないぐらいの会社」の話で、40代を大きく超えるような会社は要注意。
上役にだけ賃金が高く設定されていて、「若い社員は賃金が安すぎる」なんてことが起こります。
わたしが前にいた会社は「6年目で手取り18万」なんて絶望的な状況でした。
特に上役は十分な給料をもらっているので制度を変えようとはしません。
「平均年齢が40代を超える」
ような企業は要注意です。
平均年齢についてはこちらをご覧ください。
年功賃金制は日本独自の文化

実は日本では当たり前の感覚である年功賃金ですが、世界的に見れば極めて「イレギュラーな存在」なんです。
例えば、アメリカの賃金は一般的に職務給というスタイルを採っています。
「職務給とは仕事の内容に対して賃金が支払われる」というものです。
人に対してというよりも「仕事に対して賃金が払われている」というイメージです。
このような考え方をした場合、「職務給では年功賃金は実現できない」「成り立たない」ということは容易に想像できますね。
コストに対して下回っているところと超過しているところが互いにカバーできない。
国内を見ても、いわゆる「外資系企業」は職務給的な賃金体系を採用しているところは所々あります。
これまで、日本の経済は製造業がけん引をしてきたといっても過言ではありません。
トヨタ自動車や日立製作所などのトップ企業を合めて、多くの大手製造業は年功賃金を採ってきましたし、現在でもまだ多くは、多少の変質はしていても基本的には年功型賃金を採用しています。
これは製造業においては、主役が「熟練工」であり、彼らは勤続につれ熟練度、つまリパフォーマンスが増加していくので、一般的にコスト超過の部分が小さくなる(つまり会社の採算上も有利となる)ということもあるかと思います。
業界・業種によっては相殺できない
しかし、業種・職種によっては相殺できないところも。
その色が強いのがシステムエンジエアであるといわれています。
システムエンジニアはプログラム言語をはじめ職務に関連した知識の入れ替わりが大変激しく、身につけた知識・スキルが長期間使用できない。
短い期間でパフォーマンスとコスト(賃金)のバランスを取る必要が出てきます。このような職種で「年功型賃金」を採ると採算が取れなくなる危険性が出てくるのです。
ただ、大企業や付随した中小企業などでは例えば「30年も稼働しているようなシステム」の保守をしている場合があり、そのようなところでは知識やスキルは変化がないので
現場に長くいた熟練者が重宝されます。
国でやっている「仕事・システム」大きく変えようがないもの、なんかは熟練者のほうが重宝されますね。
希望の会社が年功賃金かどうかを抑えておこう
このような産業構造の変化とともに、 「日本型年功賃金」も当時の勢いはありません。
IT業界やサービス業界などでは「年功型賃金」を敬遠するところも増えてきていますね。
また、従来、年功型賃金を採用していた製造業の中にも、「業績の悪化」や「時代の変化」に合わせて、「年功型賃金体系」を捨てようとしているところも出てきています。
従来年功型賃金だった企業が、途中でそれを放棄した場合40代以上の社員は悲惨なことに。
40代でリストラをされるということはどういうことかというと、パフォーマンス超過を一段落させこれから「会社に貸していた部分を返してもらおう」と思っていた矢先に、退場してしまうということですから、労働者側が完全に損をした状態となるわけです。
ここで会社を選ぶ際に意識して欲しい点は、あなたの志望する会社が、「年功型賃金」なのかそれとも「非年功型賃金」なのかということを押さえておきましょう。
年功型であれば年を取るにつれて年収は上がっていきますが、もし非年功型だとすると「20代である程度もらっておかないと生涯賃金としてはとても低くなってしまいます。」
このあたりは「会社情報」や「転職会議」などの口コミや転職エージェントなどで情報を集めて、「30歳・40歳時点での賃金状況」をよく確認することが必要です。
OBや実際に働いている社員に話を聞くなどをしていきながら見極めていきましょう!
まとめ
年功賃金とは年齢に応じて収入が上がっていく給与体制です。
終身雇用制は働き盛りの世代が、パフォーマンスが低下してくる世代のコストをカバーすることによって成り立たせています。
アメリカなどでは「職務給」の形をとっていて、仕事の内容に値段がつけられる方式なので、年齢に関係なく何をしているかによって賃金が変わってきます。
志望する会社が「年功型賃金」なのかそうではないのかを見極めておかなければ生涯ワーキングプアーになってしまう可能性がありますので要注意。
合わせて希望する会社の平均年齢もチェックしましょう。
平均年齢が40代を超えているようだと「若手の給料が低すぎる」なんてこともおこりますよ!