
企業相手に訴訟を起こすには膨大な費用も時間もかかってしまいます。
なかなかそんな余裕はありませんよね。
「訴訟を起こす費用も時間」もないとなった場合泣き寝入りするのではなく「あっせん」が有効かもしれませんよ。
もし労働のトラブルに巻き込まれたら
もし「残業代未払い」などの労働トラブルに巻き込まれたら「訴訟するしかない」と思いがちですが、訴訟には莫大な費用と時間がかかってしまいます。
そこで「訴訟の前」にあなたには主に以下のような対応ができます!
訴訟を起こす前に行動できること
- 労働基準監督署に相談する
- 「あっせん」を利用する
- 労働審判制度を利用する
それぞれ詳しく説明していきますね。
労働基準監督署に相談する
今努めている「会社の労働条件が違法なのでは?」と思ったらまずは「労働基準監督署」に相談しましょう。
「無料」でさらに「匿名」で相談ができるので相談しやすいですね。
しかし残念ながら「労働基準監督署」は、企業の全ての労働トラブルを扱えるわけでありません。
労働基準監督署で扱うことができるものとしては
ただし、ものによっては「労働基準監督署」が判断できる範囲外の相談内容もあります。
労働基準法にあきらかに違反している場合のみ企業に対して調査を行えるんですね。
全ての労働トラブルを扱えるわけではない
例えば、「客観的な理由もなく即"クビ"にされた」などの「不当解雇」などは範囲外になってしまいます。
解雇については「解雇基準」を決めることができないため法律では明確に定められていませんでした。
法律で基準が定められていないということは「労働基準監督署」ですぐに対処することはできないのです。
他にも例をあげると
「企業の業績が悪化したことによって、給料を大幅に下げられてしまった。」
といったあなたにとって不利益な変更の問題なども、それは「労働基準法」で定められているものではなく、あくまで契約上の問題となるため「直ちに違法」ということにはならないのです。
このようなことを「民事不介入」といいます。
「警察権」が「民事紛争」に介入するべきではないとする原則ですね。
労働監査官は「警察権」を持っているために民事不介入になってしまいます。

裁判にかかる費用は決して安くない
労働基準監督署で扱えない場合については、「民事裁判」で解決をしなくてはいけません。
判決は「裁判所」に任せることになります。
しかし、裁判では非常に多額の費用が必要となってきます。
弁護士を雇うとなると、年収300万円ほどの方で着手金で約20万円、成功報酬で約50万円程度かかります。
絶対に安くない金額ですよね!
また判決には最低でも1年はかかるということもあり普通に働いている人にとって「訴訟」を起こすのは「ハードルが高すぎる!」とかんじますよね。
もし不当解雇などの労働上のトラブルに巻き込まれてしまったときに
「いきなり会社を訴えてやる!」
と行動を起こすにはかなりの「エネルギー」と「覚悟」が必要なんです。
「あっせん」とは
「じゃあすぐに訴訟してやる!」
と行動ができるひとは少ないですよね。

そこで、すぐに裁判をおこすのではなく裁判の前に検討するべきことは、労働局が扱っている「あっせん(斡旋)」という制度です。
交渉や商売などで、間にはいって両方の者がうまくゆくように取りはからうこと。
今回のような場合、「企業と労働者の間に専門家が入り」問題の解決を図ってくれます。
具体的にどうするかいうと、「あっせん」は、労働局に備えられた「紛争調整委員会」というところで進めて行きます。
あっせんの手続きをするための窓口はなんと「労働基準監督署」にあります。
そのためあなたに「残業代未払い」などの問題が起こった場合まず、「労働基準監督署」に相談に行きましょう。
内容が「法律で明確な基準のない民事不介入」なことだったとした場合、「あっせん」の手続きを提案してくれるはずです。

ではなく、まずはじめに「労働基準監督署」に相談に行くことが重要なんです。
「あっせん」は費用がかからない

安心してください「あっせん」は費用がかかりません!
気軽に相談することができますね。
ひとつ覚えていて欲しいのは、残念ながら「あっせん」の内容は「強制力がありません。」
そのため、企業は「あっせん」の内容に従わなくても「なんの違法にもならない」ということです。
そこが「あっせん」の弱いところになります。
「あっせん」は抑止力になっている

と思っちゃいますよね。
企業側も「変にこじらせて莫大な訴訟費用を支払う」ことはしたくないため、「提示されたあっせんの内容をもって妥協する」といったケースも多くみられるんです。
まさに「抑止力」なんですね。
もめたくないので、「未払い分の残業代をはらう」となるんですね。
最終的には労働審判制度
「あっせん」に強制力がないため、従わないことも当然あります。
次は裁判しかないが、なかなか難しいとなった場合手がないわけではなく「労働審判制度」を利用することができるんです。
裁判官1名と有識者2名の計3名で行われる「労働審判委員会」にて、「開催が3回以内」で「審理」をします。
その際いきなり争うのではなく、まずは「当事者同士の話し合い」によって進めていくようになります。
解決できるようであれば解決を、「解決できないようであれば労働審判委員会」により「労働審判」が行なわれます。
企業とあなたの両方から「異議」が出ないならば、その内容で審判内容は確定されます。
また双方だけでなく、当事者から異議を申し立てることもできます。
当事者から異議申し立てがあった場合「審判内容は失効」となり、「次の段階の訴訟手続き」にうつることになります。
労働裁判のメリット

それは圧倒的な安さと速さです。
費用については、訴訟に対しての額に比べてざっくり「半額程度」で済んでしまいます。
審理は3回以内と決められているため、「審理期間」も通常の裁判より圧倒的に少なく終えることができるんです。
うれしいことに「複雑な手続きが必要ない」ため、やろうと思えば弁護士抜きでも実現は可能だともいわれているんですよ。
労働裁判に効力はあるの?

調停や労働審判が成立し結果が決まった場合、その決まった内容は「通常訴訟の和解」と同じ法的効果を持つんです!
「労働審判委員会」では調停に向けてかなり強く働いてくれるので、今まで労働審判制度で扱われた「案件全体のなんと8割」ほどが調停もしくは労働審判の成立で解決しています。
「労働審判」は「労働トラブルの解決」に向けてかなり有効な手段といえますね。
ただし、無料の「あっせん」とは違って、費用がかかってしまうことは忘れないでくださいね。
「もう裁判にするしかない」となると「絶対に安くない費用」と「多くの時間」を消費することになります。
残念ながら「あっせん」が有効でなかった場合「いきなり訴訟!」とはいかず、「労働審判制度」を活用してみましょう。
「あっせん」にしろ「労働審判」にしろまずは地域の「労働基準監督署」に相談しましょう。
労働基準監督署はどこにあるの?
労働基準監督署は全国に主張所があるので、住んでいる地域から探してみてください。
厚生労働省のページから全国の主張所を探すことができます。
全国労働基準監督署の所在案内
例えば東京ならば以下の地域にあります。
上野
三田
品川
大田
渋谷
新宿
池袋
王子
足立
向島
亀戸
江戸川
八王子
立川
青梅
三鷹
町田支署
近くにからなずあるはずなので、探して相談してみましょう。
まとめ
もし労働トラブルに巻き込まれたら「あっせん」を利用しましょう。
あっせんは無料で行えます。
しかしあっせんには強制力がなく従わなくてもなんの違法性もありません。
あっせんが有効でない場合「すぐ訴訟!」とはせず「労働審判制度」を利用してみましょう。
期間は3日以内で費用も「訴訟よりは圧倒的に安く」済ませることができます。
労働審判で調停が成立しなかったときは、いよいよ「訴訟」となります。