
求人を探していると「残業代込み」や「みなし残業」といった条件を見たことがあるのではないですか。
ではこの「みなし残業」とはどんな条件なのでしょうか。
知らないで契約してしまうと「ソン」してしまうかもしれませんよ!
みなし残業とは
「残業代」というのは、一日の定められた勤務時間を超えて働いたときに発生するもので、「原則として毎月変動するもの」です。
lヶ月の就業データを集めて、「時間外労働時間」がどのくらい発生したか計算をしていくので
「多く残業した月には手当額も大きくなり」
「当然少ない月には手当額も少なくなります。」
残業をしなかった月には残業代は当然「ゼロ」です。
ただ、この「時間外労働手当の計算」は一定ではなく、法定時間を超えたときに「割増率が発生する」などのため、なかなか複雑なんです。
よく「夜10時を超える」と「深夜手当」がついて「通常より残業代が高くなる」ってやつですね。
給与計算の労力は、この「時間外労働手当の計算に半分取られる」ぐらい計算が大変なんです。
しかし、毎月変動するこの時間外労働手当を「定額」にして支給する会社があります。
このような支給スタイルが「定額残業手当」あるいは「みなし残業手当」と呼ばれるんです。
この「定額残業手当」は、一定の要件が揃っていれば、違法にはなりません。
その要件とは以下のように
・基本給と「定額残業手当部分が区分されていること」
・定額残業手当が「残業何時間相当か、およびそれを超えた場合の割増賃金額について給与明細等に表記し、従業員が理解できる状態にしておくこと。」
などが条件です。
なぜみなし残業が成立するの?

「みなし」で定額を支払うわけですから、「残業が少なかった月」や、「なかった月」にも、「みなし残業代は支給」されますよね。
一方、要件にあるように残業時間がみなし基準をオーバーしたら「別途手当を支給しなければなりません。」
このように考えると、「コスト過多になる可能性が高く」「会社側にとつては不利」なようにも思えます。
事務の効率化にはなりますが、それ以上に「不要な人件費がかかる」可能性がありますよね?
それにもかかわらず、多くの会社がこの定額残業制度を入れているのにはカラクリがあります!
「みなし残業」にできるカラクリ
- 業務効率を上げる
- 賃金額を大きく見せたい
- 残業代をごまかす
業務効率を上げる
みなし残業手当を導入する「企業側のメリット」は、「時間によって変動する残業代の計算をしないで済む」ということです。
制度として認められた時間内であれば一定の額を払えばいいだけなので、事務的な手間が減りますよね。
今まで残業代の計算をしていた時間で、ほかの仕事も片づけられるのでとても効率的です。
賃金額を大きく見せたい
もうひとつは、「賃金額を大きく見せたい」という会社の思惑があります。
新卒にせよ中途採用にせよ、求人票に提示する賃金額を大きく見せて、少しでもよい人材を採りたいと思うのは当然です。
あなたも、「少しでも給料のいい会社に入社したい」と思いますよね?
新卒市場で「初任給額を膨らませて見せる」ことで新入生の目に止まらせる、基本給に加えて「みなし残業代を加算した総額」を「初任給額」のように見せるのです。
これは、「ズルい」と感じませんか。
初任給額に「残業代が入っている」なんて想定外だと思いますので、入社した後に、損をした気分になります。
こうした定額残業手当は、就活ナビなどでは賃金項目別の表記はほとんどされていません。
なかなか見分けがつきずらいんです。
一部上場の大手企業などでは定額残業手当を導入しているところはあまり見かけません。
それが中堅以下の企業では、このみなし残業制を導入している企業がとても多くなります。
「ハローワークの求人票」を見るとそこでは「項目明細」が出ていますので、確認が可能です。
就活ナビなどで見つけた求人で項目がわかりずらかったら、ハローワークの求人票を見てみましょう。
就活エージェントならば担当者に聞けば「みなし残業制」なのか確認することができます。
ハローワークの求人票では、賃金項目名としてストレートに「定額残業手当」「みなし残業手当」という表現になっているとは限らないので注意です。
例えば「業務手当」「職務手当」というように名称をぼかして設定しているところも多いので、項目名称がちょっと抽象的な匂いがした場合には必ず確認しましょう!

残業代をごまかす
定額残業手当を導入しようとするもうひとつの理由は、なんと残業手当をごまかしてしまうというものです!
つまり「みなし残業相当時間」をオーバーしても、追加で残業手当を支払わないんです。
これはもちろん違法です。
会社側としては「一定の残業手当をもらっている」ので、「未払い残業問題としてあまり目くじらを立てて追求してこないだろう」という思惑があります。
また、万がいちあなたが「労働基準監督署」に駆け込んだとしても「定額残業手当として一定額がすでに支給されている」ので、「未払い残業手当の支給の是正勧告を受けたとしても」、「支払う額は少なくて済む」という目論みがこのような違法な対応をさせてしまうんですね。
このレベルになると間違いなくブラック企業です。
しかし「残業代未払いのもめごと」が一向に減らないのも普段流れているニュースなどで分かりますよね。
そのようなところはみなし残業にしているところが多かったりします。
定額残業手当のような給与項目設定をしている会社は
「少なくともホワイト企業候補に該当する可能性は低い」
ことになりますので、いくら気に入った企業でも「みなし残業」を導入している企業はもう一度「口コミ」や「実際に働いている社員さん」の話をよく聞いて判断しましょう。
まとめ
残業代がある一定額、給料にすでに含まれているのが「みなし残業」です。
一見して他より給料額が多いようにに見えますが注意が必要です。
「みなし残業の見込み時間」を過ぎて残業しても、「残業代が払われない」や「企業として訴えられても支払う額は少なくていい」という思惑があります。
大企業ではあまりこの制度を導入しているところはありません。
ブラック企業による「残業代未払い」の問題は「みなし残業制」を導入していることが多くもめごとの種になりやすくはあります。
残業代をごまかされやすいことを考えると「みなし残業」にしている企業は、口コミや社員の話から実態を掴んでおくことが大切です。